一瞬で間合いを詰め、竹刀を打ち下ろす。会心のメンが決まった。だが、この時の記憶はない。「後で動画をみたら、確かに打っていた」
栃木県警の藤原真児さん(51)は、京都市で5月にあった日本剣道連盟の審査会で最高段位の8段に認められた。合格率が1%を切り、「全国最難関の試験」と言われる狭き門。これまで、3度の挑戦をはねのけられてきた。
受験資格は「7段取得後10年の修行を経た46歳以上の者」。合格率が10~20%台の7段とは別格で、業界では「神の領域」とされる。審査の内容は、1次と2次が別の剣士と立ち会う「実技」、その後が重要な動きなどを凝縮した「形(かた)」。
4度目に挑むにあたり、改めて自身の足元をみつめ直した。日常を貴び、仕事に心を込める。
「剣道は生活に密接する。生…